■研究内容

 本年度は4カ年の継続研究の1年目として次のような研究の重点を設定し、各年度ごとに研究実践を行い、研究主題に迫る仮説の実証を図っていきたい。

1.研究の重点
「資料活用」を、より具体的にかつ社会科学習に結びつけて考え、次のような能力にまとめ、各年次ごとの研究の重点とする。

 @問題を解決するために必要な資料を収集する能力
 A収集した資料を、問題に応じて取捨選択する能力
 B資料から事実を丹念に読み取る能力
 C読みとった事実に意味づけをする能力(資料から自分の考えを持つ能力)
 D資料を比較・関連させて結論を導き出す能力(資料から自分の考えを深める能力)
 E導き出した結論を自分なりにまとめる能力


2002年度【1年次目】 研究の重点@・A
(1)資料から情報を収集・選択する能力を伸ばす
資料には、教師から「与えられた資料」と生徒自らが「見つけてきた資料」とがある。生徒が主体的に学習することを考えれば、生徒に見つけてきてほしいと願うことは必然であるが、「資料に込められた意図」を学ばせることが、生徒の収集・選択する視点を育てると考えられる。したがって、教師がその授業に適した「資料」の提示を念頭に、様々な収集方法を伝え、取捨選択する視点を育てることが、次年度以降へつながると考える。
2003年度【2年次目】研究の重点B
(2)資料から事実を丹念に読み取る能力を伸ばす
資料から事実を丹念に読み取るということは、資料の具備内容を一つ一つ正しく読み取ることであり、資料活用によって最も基本となる部分である。例えば、写真資料からその状況や様子について細かいところまで見つけていく。統計資料では、単に数値そのものを読み取るだけではなく、変化の実態や全体的傾向などを理解すること、さらに数値の奥にある社会事象を読み取ることなどである。こうした資料を丹念に読み取る能力が、生徒の学習問題を解決することに役立ち、自ら問題を解決した成就感を味あわせるもとなると考える
2004年度【3年次目】 研究の重点C・D
(3)いろいろな資料を基に考えをまとめたり深めたりする能力を伸ばす
資料から事実を丹念に読み取るとともに、そこから何が見つけられたか、何がわかったか、何が言えそうなのかといった読み取った事実に意味づけすること、言い換えれば、読み取った事実から自分の考えを持つということも、問題を解決する上で大切なことである。
さらに、複数の資料を比較・関連させて分析することから関係を把握したり、抽出したりして結論を導き出すこと、すなわち自分の考えを深めていくことが大切である。こうした能力を身につけることにより、生徒は新たな問題を見つけだし、その解決に意欲的に取り組んでいくのだと考える。
2005年度【4年次目】 研究の重点E まとめ
(4)資料活用の目的に応じた学習場面の設定
資料には、実物資料、模型資料、ビデオ資料、写真資料、地図資料、読み物資料、史料、統計資料など様々ある。個々によって各種資料に対する好みがあったり、資料そのものに難易度もある。
そこで、資料活用の目的に応じた学習活動を意図的に仕組むことも重要である。
 ア.資料の見方に関する基礎的な指導
 イ.問題解決に必要な資料を、各種資料の中から自分で見つけていく活動
 ウ.調べる時間を十分確保して、自分の学習ペースで取り組める活動
 エ.資料をいろいろな視点で読み取っていく活動


2.教育課程及び教科書研究
○新学習指導要領実施に伴う新教育課程の編成や授業の進め方の実践的な検証を進める。