■研究仮説 | ||||||||||||
生徒が必要とする情報を収集・選択・活用することによって、自らの意見や考えを持 つことができ、主体的に学習しようとする意欲が喚起され、たくましく生きぬく力を養う ことができる。 |
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■仮説についての考え方 | ||||||||||||
社会科の学習指導における基本的特性は、生徒に事実として社会的事象を理解させ、その事象が内包している社会的意味を正しくとらえさせることである。 事実として社会的事象を理解させるには、生徒に見学や観察させることがもっとも効果的であるが、実際には地域や国土、世界の国々の産業、歴史的な文化遺産・史跡、政治・経済など、すべてを観察させたり、見学させることはできない。だからといって知識として伝える(理解させる)だけでは不十分なことは明白である。したがって、事実に基づいた実証性を重んじる社会科指導を進めるためには、観察・見学の代替として学習の「手がかり」となる材料が必要である。このような「学習の基礎となる材料」が「資料」といえると考える。 資料は、教科書・資料集・地図帳などに盛り込まれているが、それはごく基本的なものに限られている。やはり、自分の住む身近な地域に関する学習を深めたり、変化の激しい現代の社会的事象を正確に理解させたい場合には、教師の多面的・多角的にとらえた新しい情報を収集・加工して、それを資料として活用する、または情報として資料を生徒に与えることが大切だと考える。 同様に、生徒が自ら資料を収集し、取捨選択・活用できる力を育てることが大切である。 ここでいう「資料を活用する」とは、生徒が資料を手がかりとして、それを読んだり、分析したり、推論しながら次のような能力を次第に身につけていくことと考える。
これまでの研究を進める中で、生徒自身が問題を解決していくために必要となる資料を選択できなかったり、その資料から問題に関連した事実が読み取れなかったり、解決の手がかりとしての資料が十分に活用されない場面が、しばしばあったと思う。このことから、資料から事実を丹 念に読み取る力や、いろいろな資料を基に自分の考えをまとめたり深めたりする力を育成するこ とが重要であると考える。 資料を基に、客観的に社会事象をとらえる力や、各種資料を比較・関連づけて考察していく力(思考力)は、社会科学習において問題解決の基礎となる能力の重要な要素である。したがって、これらの力を高めていくことにより、問題を多面的に深く追求していくことの喜びや、問題が解決できた時の成就感を増すことにもつながるとともに、主体的に学習しようとする意欲が喚起されると考える。 |