明らかになってきたこと 

環境教育の意義
  
 地球規模のエネルギー問題・環境問題、そして都市生活型公害など地域の環境問題は深刻化しています。そこで、「持続可能な社会」を全世界が共通して実現させるため、自然環境の保護や、環境保全のための社会的行動がすべての人に求められるとともに、環境教育が必要となっています。

環境教育のねらい
 
◆「ベオグラード憲章の目標6項目」
  これを環境教育のねらいの根本とおさえます。
 
 1関心: 全環境とそれにかかわる問題に対する関心と感受性を身につけること。
 2知識: 全環境とそれにかかわる問題、
      および人間の環境に対する厳しい責任や使命についての基本的な理解を身につけること。
 3態度: 社会的価値や環境に対する強い感受性、環境の保護と改善に積極的に参加する意欲などを身につけること。
 4技能: 環境問題を解決するための技能を身につけること。
 5評価能力: 環境状況の測定や教育のプログラムを生態学的・政治的・経済的・社会的・美的、
        その他の教育的見地に立って評価できること。
 6参加: 環境問題を解決するための行動を確実にするために、
      環境問題に関する責任と事態の緊急性についての認識を深めること。

文部科学省が言うねらい

 「環境問題に関心を持ち、環境に対する人間の責任と役割を理解し、環境保全に参加する態度および環境問題を解決するための能力を育成すること。」 (文部省(当時)環境教育指導資料 小学校編)

本部会として、石狩の小中学校での環境教育のねらいを次のようにおさえて来ました。
 
 1 自然環境を保護できる技能や思考力、判断力を身につけさせる。
 2 地球規模の環境保全を図る望ましい働きかけのできる技能や思考力、判断力を身につけさせる。
 3 よりよい環境の創造活動に主体的に参加し、環境への責任ある行動が取れる態度を育てる。

◆《研究の目的》
  今日、地域的あるいは地球的規模のさまざまな環境問題は、人類を含む多くの生物にとって緊急の重要な問題です。またそれらは経済や国際関係などの要素とからみながら複雑化し、多くの国、立場分野の人々の努力はなされていますが、問題は深刻化のスピードをゆるめません。
  教育が問題の解決にとって重要であるとの認識は70年代より起こり、学校教育においても、21世紀を生きる子どもたちに環境保全に関する正しい理解と認識を確実に届ける必要性が語られるようになり、90年代に入って日本の文部省も「環境教育指導資料」を発行しました。

  各学校では、現行教育課程の展開の中で、社会的な要請を踏まえ新たな視点に立って環境教育の実践を始めています。また2002年度になされた指導要領の大幅な改訂で「総合的な学習の時間」の内容例として、また「総合学習」のテーマに環境教育が大きく取り上げられるなど、学校の中での環境教育の重みがますます増しています。そこで本部会では、授業研究や講演を実施すると同時に、各校の実践を集約・交流する中で、石狩としての環境教育の進むべき道を探って行くことを目的とします。

◆《自然観察の重要性》

  ◎ 自然に触れ自然を見つめる中から、自然に対する豊かな感性と、しっかりした自然観が育ちます。「いいなあ、好きだなあ」という素直な気持ちや興味、疑問を持って自然を見ることが、大切にしようという感性に通じます。
  
 『しっかりした自然観』とは
 ・自然界のものはすべて循環や連鎖のような形で関連しあっている
 ・人間もその自然の一部である。しかし人間だけが自然を壊す
   (関連を断ち切る)生き物である。
 ・自然は壊れやすい側面もあり、一度失われると、簡単には取り戻せない。  
                                         (千歳小レポートより)

◎生物多様性は環境問題を考える重要なキーワードです。

 ・小さな林、一筋の小川にも、数え切れないほどの生物が深く関連しあって住んでいます。その生態系のバランスを崩すことが自然破壊です。
 ・人間の活動が、例えば林の多様な生物群の何に影響を与えるかという目で自然を見ることが重要です。実を採るとそれをえさにしている虫がどうなるか、別の植物を植えると日陰になる部分の植生がどうなるか、という視点を自然観察は教えてくれます。                                                                                (大曲東小レポートより)

◎生物が環境の変化を教えてくれます。

 ・継続的に観察し、昔の自然の記録と比較すると失ったものがはっきりします。その原因を考える必要があります。
 ・ザリガニがいなくなったのはなぜか(森林と小さな沢地の開発による減少)。
 ・ササが増えているのはなぜか(森林の伐採、土地開発による湿原の乾燥化)
 ・シマアオジが減っているのはなぜか
  (中国での環境の変化、日本での草原の減少)、などの変化から地域の環境変化、地球的規模の環境悪化が自然観察から見えて来ます。
 ・スナック菓子を与えられ内臓の病気になるオオハクチョウ。「食」の問題も見えて来ます。
                    (97年 ウトナイ湖バードサンクチュアリでの学習会より)

◎ワイズ・ユーズ。自然をよく知ると「賢く意義深く使える」ようになります。

 ・環境の良くない場所に育つ木は、枝を折るなどするとダメージは大きいが、森の中の条件の良い場所の木は、折ってもまた生えてきます。そんな自然の強さも理解できると、勉強のために枝を切ったり自然をもっと愛するために葉を採ったりもさせられるようになる。将来、その子がもっと大きな力を自然保護につかってくれるように、今枝を折ることを認めてあげられるようになる。
                   (99年 森林教室にて 林業指導事務所 専門指導員より)

◆《公害問題を語り継ぐことの必要性》
 
◎公害問題からスタートしたのが日本の環境教育です。重大性・緊急性は今も変わりません。

 ・水俣病に代表される公害は、無くなった(解決した)わけではなく、より広範囲により多岐にわたって危険が拡大したと考えるべきです。
 ・例えば「ゴミ問題という公害の被害者は加害者でもある」と言われ水俣病などとは違うという考えがあるが、実は消費者が生産にコントロールされている社会であるためで、社会経済システムの支配者である国や企業が真の加害者である、という意味で同じ「公害」です。  
                        (理科センター環境教育講座、丸山 博氏より)

◆《表現する、交流する、広く訴えることの重要性》

◎子ども同志、または子どもと地域の方々が、環境問題をともに考える中で、環境を保全する世論が高まり社会の在り方が望ましい方向に向いて行くのではないでしょうか。

 ・子ども同志、または子どもと地域の人材とのふれあいの中で、身近な環境問題をともに考え判断するために、表現力を高めることや交流の機会をもたせることが大切です。

 ・自分と地球規模の環境問題が直結している感覚を持って考えたり発表したりすることを通じ、自分や社会のあり方を望ましい物にしていこうとする姿勢をもつことが大切です。
 ・地域の人材を通じるなどして、広く社会に訴えることで、環境保全の世論が高まって行きます。                                              (北の台小レポートより)

◆《世界の先住民族に学ぶことの価値》

◎自然との共生、持続的発展が可能な生活、真の「知恵」…。縄文の暮らしや世界の先住民族の文化に学ぶことは、大量生産・大量消費・大量廃棄の物質文明と対比して、それを多面的に見直すことにつながります。

 ・先住民族アイヌの暮らしは、身近な「先生」です。
   (現代のアイヌは伝統的な暮らしをしたくてもできない社会状況にある認識も忘れず)
 ・「縄文時代の豊かさ」と語られるようになって来ました。有害なゴミを出し続け、地球を汚しながら作る電気を使う現代の物質文明は、けっして「豊か」と呼べるものではありません。          (末広小レポートより)

◆《リサイクル活動のような個人のライフスタイルを見直すことで終わらせないこと》

◎「リサイクル活動で地球を救う」等と子どもたちはよく言いますが、それは大量生産・大量消費・大量廃棄の免罪符のように使われてはいないでしょうか。

 ・たしかにやらずにはいられないことですが、「こんなに包装しなくても良い」「牛乳びんという良いものがある」というように社会経済システム全  体の問題点に目が広がる実践をしたいものです。
 ・「一人一人が節電する」という結論ではなく、例えば「過度な生活利便性の追求による電気の大量消費を押さえる法的な措置」を探る方向まで見通した実践を。 
                                  

◆《反核・反原発の視点の重要性》

◎人類と核は共存できないという認識を確実にしましょう。

 ・戦争は最大最悪の環境破壊。平和教育と環境教育は「民主社会の主権者を育てる」というところで通じ合っています。

 ・原子力発電は危険で環境問題が多いので減らして行こうというのが世界の先進国の流れ。日本はそれに反していますが、なるべく早く減らそうという世論を盛り上げて行く必要があるのは、言うまでもありません。「政治の問題」と触れるのをためらわずに、真理を語って行く必要 があります。                                 

◆《環境先進国に学ぶことは多い》

◎ドイツ、デンマーク等の社会システムを学ぶことを国際理解教育の大きな柱にすえるべきではないでしょうか。

 ・ビオトープの造成(自然の生態系を人間が手を加えてとりもどす)、リサイクルの前にリフューズ(断る・やめる)リデュース(減らす)リユース(再利用)するのが当たり前のドイツ。
 ・バイオマス(家畜の糞尿)発電も風力発電も、地域の50人で出資し数年で売電利益が出る、ペットボトルも最低20回再利用されるデンマーク。
                            (2000年集会 藤田郁男氏 講演より)

◆《自然保護運動につなげる重要性》

◎豊かな自然を豊かなまま次の世代に渡すという自然保護。そのはじまりが自然観察です。じっと見る→見えてくる→わかる→うれしい。このうれしさが自然を愛する人を増やし、自然保護運動につながり、やがて社会システムを変える大きな原動力となるのです。一人でも多くの人に自然を愛し、守ってもらうために…。自然観察指導員はライフワークとしてボランティアで地域の自然観察会を開催しています。これが私たちの考える『自然保護教育の実践』です。
                (2001年集会 講師陣、日本自然保護協会パンフレットより)

◆《食から環境を考える》

◎スローフードということばがあるが、他の表現では「地産地消」「真土不二」「医食同源」などもあげられる。生産者だけがやっているのではなく、いろいろなつながりを持ちながら、消費者の評価を受けながらやっていくことが日本の農業を支えることになる。今後も有機農業の話をするときは、農業の話だけではなく、自分たちの命について語っていきたい。
                            (2003年度集会 大塚利明氏 講演より)